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女性の就労率:
女性の就労率は、家族政策の目的達成度を分析するにあたり、男女平等、世帯の経済的水準、出生率に対して影響を与える重要な要因である。スウェーデンの家族政策にとって、女性就労率の増加はひとつの目的とされてきたのであり、調査によっても男性に比べて女性が平均的に貧しくないことが証明される。他の国をみると、貧困は圧倒的に女性の性に存在するのが普通である。
図16は、1993年度の女性就労率の国際比較である。スウェーデン、デンマーク、ノルウェーの北欧諸国の女性就労率が最も高く、ついでアメリカ、イギリスとなる。ただし、アメリカ、イギリス両国とも有給育児休暇や公的財源により大幅に助成される保育制度をもつわけではない。この二つの国に対して、北欧諸国の女性ならびに男性は育児休暇中労働力として労働市場に残り続けるということが違いとしていえる。女性就労時間は国によって大きく異なるが、スウェーデン女性の多くがパートタイム(しかし長時間で平均週30時間)で働いている。イギリスの場合は、スウェーデンよりもパートタイム就労が多く、しかも週20時間より短いのが普通である。アメリカでは、ほとんどの女性がフルタイムで働いていることが指摘される。
アメリカは、公共保育や普遍的な家族政策なしに、就労時間に換算すると、スウェーデンとほぼ同じ女性の労働市場進出を遂げたことになる。アメリカがとった対策は民間部門の拡張による対応であった。ただし、労働市場に進出していない女性の割合が多い反面、働く女性の多くがフルタイム就労につくというように、労働

 

図16 女性の就労率(1993年)とその国際比較

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出所:Wennemo 1996 p.215

 

 

 

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